シナプス様小胞のNPFトランスポーターが種子への鉄・銅輸送を制御する
シナプス様小胞のNPFトランスポーターが種子への鉄・銅輸送を制御する
NPF transporters in synaptic-like vesicles control delivery of iron and copper to seeds
Zhen-Fei Chao, Ya-Ling Wang, Yuan-Yuan Chen, Chu-Ying Zhang, Peng-Yun Wang, Tao Song, Chu-Bin Liu, Qiao-Yan Lv, Mei-Ling Han, Shan-Shan Wang, Jianbing Yan, Ming-Guang Lei, Dai-Yin Chao
Sci. Adv. 2021; 7 : eabh2450 3 September 2021
要旨
種子への鉄の蓄積は、植物の生殖とヒトの栄養の両方に不可欠である。種子への鉄の輸送には、植物の師管組織での沈殿を防ぐために、キレーターであるニコチアナミン(NA)が必要である。しかし、NAがどのようにしてアポプラストに運ばれ、金属-NA複合体を形成するのかは不明である。ここでは、硝酸塩/ペプチドトランスポーターファミリーの2つのメンバー、NAET1とNAET2が、鉄と銅の種子への移行に必要なNAトランスポーターとして機能することを報告する。我々は、NAET1とNAET2がシュートと根の脈管組織で主に発現し、動物のシナプス小胞からの神経伝達物質の放出に似た形で、細胞外へのNAの分泌を媒介することを示した。これらの知見は、植物における膜貫通輸送の特異なメカニズムを明らかにし、食物栄養学やヒトの健康増進につながる植物栄養学の基本的側面を明らかにするものである。
図6. A. thalianaの金属ホメオスタシスにおけるNAET1とNAET2の機能的メカニズムの図。(A〜C)細胞(A)、組織(B)、器官(C)レベルでのNAET1とNAET2の機能。細胞内で合成されたNAは、NAETタンパク質によって分泌小胞に輸送され、次いでエキソサイトーシスによってアポ胞に分泌され、金属-NA複合体を形成する。根の木部では、CuとCoが分泌されたNAによって複合化され、その後、木部の流れに沿ってシュートへと移動する。Fe、Cu、Coの金属-NA複合体は、シュート葉茎の葉緑体空間で形成され、YLS1/3によって師管細胞に取り込まれ、吸収器官へ長距離輸送される。赤矢印は導管流、青矢印は師管流を示す。NA、金属、金属-NA複合体、NAETs、YSLs、OPT3は図中に示した。
図6