アスパラガスの畑で発生しているナメクジ害の特効薬が見つかった!
アスパラガスの畑で発生しているナメクジ害の特効薬が見つかった!
先日のwinepのこの新着情報欄で全国に発信していた、アスパラガスのナメクジ害に対しての薬剤が、見いだされた。この薬剤商品名は「スラゴ」とよび、日本農薬株式会社から特約の園芸店で販売されている。宣伝のカタログには主成分は<リン酸第二鉄>と記されている。作用機作はまだよくわからないようである。接触毒ではなく、ナメクジがこの粒剤をかじって摂取した後に内蔵器官で異常を起こし死亡する、という記載である。
筆者はさっそく現地に飛んでその効能をつぶさに観察した。
1. アスパラガスの被害の状況は、たぶんアスパラガスの食品としての栄養成分には関係しないが、見た目の姿形が悪くなるので、商品価値ががた落ちで規格外品になる。ナメクジがかじった若茎(じゃっけい)の側面は、細胞伸張が出来なくなるので、かじられない側の細胞伸張に押されて、かじられた側に茎が曲がる(写真上)。つまり姿がグニャグニャの若茎になる。商品価値の高いアスパラガスは姿形が「なびなび」(くせがなくすくすく育つ)していなければならない、ということである。
知人によればこれまでなんだかんだのことで、この間のナメクジ害で現金収入は4割減収とのことである。
2. ナメクジはこの粒剤(直径1mm X 長さ2-3 mmの円柱)を好んで食べるが、円形のカドの方からかじっていく(写真中)。食べているうちにおなかの具合が悪くなるのか、2‐3時間でたべなくなる。そのうちいくら近くに粒剤があっても見向きもしなくなる。たぶん1‐2日して、じょじょに動けなくなる。さらに時間がたつとおなかがぱんぱんにふくれるか、萎びてしまう。ぱんぱんのものはおなかをピンセットで触るとパンと破裂してガスが吹き出る。体内で異常発酵しているようである。よくみると、大きな死亡したばかりのナメクジに小さなナメクジがたかって食いついているばあいもある(写真下)。
3. さて、この「スラゴ」粒剤のの畑への振り方であるが、スラゴはあまり誘因効果があるわけではなさそうなので、畑の全面に均一に1-5 g/m2の濃度で散布する方がよい。ナメクジは死に場を求めて孔に潜るので、一見表面に残った死体が少なく見えても必ずしも効果がないわけではない。また、ナメクジの卵や幼生の生育期間が長いので、1週間おきに1ヶ月ぐらいは散布、し続ける方がよい。ちなみに「スラゴ」の主成分であるリン酸第2鉄は食品添加物としても認められている化合物であるので、犬猫や人間には害がない。