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-植物鉄栄養研究会-


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19生都営法特第463号
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食品中および生体中の不安定Fe2+をモニターするカルバモイルオキシムベースの高特異的な蛍光性ケモドシメーター(Chemodosimeter)

Date: 2024-09-09 (Mon)


食品中および生体中の不安定Fe2+をモニターするカルバモイルオキシムベースの高特異的な蛍光性ケモドシメーター(Chemodosimeter)

A Carbamoyl Oxime-Based Highly Specific Fluorescent Chemodosimeter for Monitoring Labile Fe2+ in Food and Living Organisms

Tingyi Yan, Xin Wang, Caiyun Liu,* Xinyu Cai, Yao Wang, Xueting Liu, Xiaodi Rong, Kun Wang, Wenzhai Li, Wenlong Sheng,* and Baocun Zhu*

J. Agric. Food Chem. 2024, 72, 13341−13347

要旨
鉄は生体を構成する必須元素であり、広範な生命活動において重要な役割を果たしている。人体は主に食物から必須鉄分を摂取している。したがって、鉄のホメオスタシスを維持することは、人体の健康に不可欠である。細胞の微小環境は還元的であるため、Fe2+は細胞内で支配的な地位を占めることができる。従って、生体内の大量のFe2+を検出できる、簡便で感度の高いツールの開発が急務となっている。本研究では、新規なカルバモイルオキシム構造を認識基として組み込むことで、優れた感度(LOD = 82 nM)でFe2+を検出する高特異的な蛍光ケモドシメーターNPCO(「NP 」はナフタルイミド蛍光団、「CO 」はカルバモイルオキシム構造を表す)を構築した。NPCOは、食品サンプル、生細胞、ゼブラフィッシュ中のFe2+検出に効果的に用いることができる。さらに、ダイズもやしをモデル植物として用いることで、NPCOの応用は植物中のFe2+検出に拡大した。従って、NPCOは生物中のFe2+を検出するための優れたアッセイツールとして利用でき、鉄の調節機構を探る上で重要な助けとなることが期待される。


以下図の説明

図4. NPCOを用いたHeLa細胞の蛍光イメージング。(a)非処理のHeLa細胞。(b) HeLa細胞をNPCO(10μΜ)で20分間インキュベートした。 (c) HeLa細胞をBpy(1mΜ)で30分間インキュベートした後、NPCO(10mΜ)で20分間インキュベートした。 (d) HeLa細胞をNPCO(10μΜ)で20分間インキュベートした後、Fe2+(50μΜ)で30分間インキュベートした。(e)HeLa細胞をBpy(1mΜ)およびFe2+(50μΜ)と30分間共インキュベートした後、NPCO(10μΜ)と20分間インキュベートした。 f)HeLa細胞可視化の相対蛍光強度プロット。

図5. NPCOを用いたゼブラフィッシュの蛍光イメージング。(a)無処理のゼブラフィッシュ。(b)ゼブラフィッシュをNPCO(10μΜ)と20分間インキュベートした。 (c-e)ゼブラフィッシュをNPCO(10μΜ)と20分間インキュベートした後、Fe2+(5、10、20μΜ)と30分間インキュベートした。(f)ゼブラフィッシュをBpy(1 mΜ)とFe2+(20μΜ)で30分間インキュベートし、その後NPCO(10μΜ)で20分間インキュベートした。 (g)ゼブラフィッシュ可視化の相対蛍光強度プロット。

図6. NPCOを用いたダイズもやしの蛍光イメージング。(a) 何も処理しないダイズもやし。(b)NPCO(10μΜ)とインキュベートしたダイズもやし。(c)NPCO(10μΜ)とFe2+(100μΜ)を添加したダイズスプラウト。365 nmの紫外線照射下でのダイズもやしのイメージング。


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