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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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祝・長澤寛道氏・日本学士院賞受賞

Date: 2023-03-15 (Wed)


研究題目
バイオミネラリゼーションの制御機構に関する生物有機化学的研究

長澤寛道(ながさわ ひろみち)

授賞理由
 長澤寛道氏は、骨や貝殻など、生物が鉱物を作る反応であるバイオミネラリゼーションに関して石灰化反応を中心に研究を進めました。様々な生物の石灰化組織から多数の新規有機基質を世界に先駆けて同定し、それが石灰化に果たす役割を解明することによって、種を超えた石灰化反応に共通する機構とその全体像の解明に多大な貢献をしました。炭酸カルシウム結晶多形選択的結合活性を測定する方法を開発し、アコヤガイの真珠層を形成する微量のタンパク質(Pif)を発見、精製単離して構造とその機能を明らかにしました。真珠の光沢をもたらす真珠層の炭酸カルシウムアラゴナイト結晶形成の機構が解明されました。石灰化組織の有機基質を、その機能から、不溶性、多機能性、結晶成長制御、非晶質安定化の4種類に分類した生物間共通モデルを提案しました。このような実験に基づく生物における石灰化に関する普遍的モデルは、これまで提案されたことのない画期的なものであり、その意義は極めて大きいものとなっています。

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付記:小生が現役教授のときに、長澤さんの弟子の学生の修士か博士の論文審査を行ったことがある。当時ミネラリゼーションの遺伝子がクローニングされたばかりで、その特異な塩基配列に、不思議な感じを抱いた印象がある。その後、長澤さんは「特別推進研究費」などの大型研究費を獲得して急速に研究が発展していった。