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-植物鉄栄養研究会-


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19生都営法特第463号
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カドミウムストレス下におけるイネ苗の生化学的、代謝的および抗酸化的プロファイルに及ぼすMoringa oleifera煙のポジティブな変化

Date: 2023-02-21 (Tue)

Moringa oleiferaは、インド全土で栽培されている高さ約10 mの中小の木です。それは野菜、香辛料、料理や化粧品の源として使用される多目的の木です.この論文はいわゆるぶっかけ試験である。イネ幼苗の育成のときに、カドミウム汚染水しか使えない現場があれば、使える技術かもしれない。この植物の煙がなぜカドミウム吸収を抑制するかは、皆目わからないが。

カドミウムストレス下におけるイネ苗の生化学的、代謝的および抗酸化的プロファイルに及ぼすMoringa oleifera煙のポジティブな変化

Moringa oleifera smoke induced positive changes in biochemical, metabolic, and antioxidant profile of rice seedling under cadmium stress
Gulmeena Shah, Jumin Tu, Muhammad Fayyaz, Sadaf Masood, Habib Ullah, and Muhammad Jamil

INTERNATIONAL JOURNAL OF PHYTOREMEDIATION
https://doi.org/10.1080/15226514.2022.2157793

要旨
重金属であるカドミウムは、工業化や人為的活動の急激な増加により、農地土壌を汚染し、植物の生育に影響を与えている。

本研究では、バスマティ385およびシャヒーンバスマティ苗木の生理、生化学、代謝、および抗酸化プロファイルに及ぼすカドミウムの影響を軽減するために、Moringa oleiferaの燻製水を使用した。

28日齢の苗に100, 200, 400 mMのカドミウムストレスを煙水(1:1,000)とともに1週間水耕栽培で与えた。

その結果、Cd2+毒性は、苗長、新鮮重および乾燥重、光合成色素、電解質漏出に負の影響を与えたが、煙水の適用により、これらの影響は緩和された。

さらに、Cd2+含有量、細胞傷害、代謝パラメーター(プロリン、総可溶性糖)および抗酸化物質(ペルオキシダーゼ、カタラーゼ)はCd2+濃度の増加とともに増加したが、煙水処理苗は高濃度で減少を示した。

本研究から、煙水にはイネ苗のCd2+ストレスを軽減し、植物の成長を改善する調節物質が存在すると結論付けることができる。


新規性
モリンガ(Moringa oleifera)は、有名な薬用植物である。
その果実、根、葉、花は、世界の様々な地域で野菜として利用されている。モリンガの葉には、ビタミンA、C、リボフラビン、βカロテノイド、鉄、フェノール酸を豊富に含み、また抗酸化作用も報告されている。
本研究のユニークな点は、モリンガの葉をスモークウォーターの調製に使用することである。また、カドミウムストレス下におけるイネ苗への影響も確認され、この点についてはこれまで評価・報告されていない。


図6. Cd2+ストレス下の2品種のイネの全カドミウム吸収量に及ぼすMoringa oleifera煙水の影響。

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