鉄可溶化菌の応用による圃場土壌の鉄の生物学的利用能の向上

鉄可溶化菌の応用による圃場土壌の鉄の生物学的利用能の向上

Augmenting the bioavailability of iron in rice grains from field soils through the application of iron-solubilizing bacteria
　
Vinodbhai Patel Kartik1、Sapna Chandwani2、Natarajan Amaresan2,*)
　
1インド・グジャラート州スラート395 007、Veer Narmad南グジャラート大学、バイオサイエンス学部
2C. G. Bhakta Institute of Biotechnology, Uka Tarsadia University, Bardoli, Surat 394 350, Gujarat, India （インド、グジャラート州

Letters in Applied Microbiology, 2023, 76, 1–6
https://doi.org/10.1093/lambio/ovac038

要旨
バイオフォーテイフィケーションは、米などの主食に含まれるミネラル栄養素を強化するために広く用いられている。本研究では、鉄可溶性植物成長促進細菌（PGPB）によるイネ穀粒およびNPKの鉄強化について、圃場実験により評価した。
鉄可溶性細菌を接種すると、草丈、根および茎の乾燥重量、穂長、穀物収量、窒素、カリウム、リン、鉄の吸収量などの生育パラメータに有意な改善がみられた。
鉄の動員は、無施肥の植物と比較して、イネ粒で 53.88% から 89.05% の範囲であった。本研究の結果、PGPB株の応用は、イネ、ひいてはヒトの鉄欠乏の問題に対処するために不可欠なアプローチであることが明らかになった。


まえがき（部分訳）
：：：：：：：作物バイオフォート化戦略は、米粒の鉄分含有量を向上させるために非常に有効です。
新しい有望な作物バイオフォート化戦略に関して、研究者は、細菌、真菌、菌根などの植物成長促進微生物を利用しています。
Trichoderma aperellumを処理すると、小麦の穀物鉄含有量が増加し（de Santiago et al.2011）、植物成長促進性のPseudomonas putida, Ps. fluorescens, Azospirillum lipoferumの適用により米穀物の鉄含有量が増加しました（Sharma et al.2013）。
これらの事実に基づき、本研究では、我々の以前の研究 (Chandwani et al. 2022) で同定された鉄耐性および可溶化細菌が、畑土壌からイネ植物および穀物へ利用可能な鉄を動員する能力について検討した。


下図は原著論文の表２を小生（森敏）が勝手に編集したものである。種子の鉄含有量の有意な増加に注目。玄米ではなく精米した白米を測定していないのが悔やまれる。

さまざまな鉄溶解菌投与によるイネの組織の鉄含量