WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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中国、アルカリ土壌地が豊かな田畑に変貌

Date: 2022-12-05 (Mon)

以下のネットのニュースは、生育条件に付いて細かな記述がないのでどれくらい信頼性があるかわからないが、参考になる点もある。

以前に30年ほど前に、長谷川和久・石川県立大学現名誉教授が内モンゴル自治区で、砂漠土壌に黄河の水を引いて水田を開墾して、かなりの稲の収量を上げた実績がある。これは極めて先駆的業績で、今回の報告は、その長谷川氏の研究を参考にしているようにも思われる。

アルカリ土壌でも常時湛水条件下では、徐々に土壌還元が進むので、不溶性の鉄が二価鉄として溶出してくる。そこで、可溶性の安定的な鉄系資材などを投与して、初期の激甚な鉄欠乏を何とか回避できれば、その後は徐々に鉄欠乏が回復してくるのである。

ただし生育の後半で、日本でやるような、中干などをすると、せっかくの可用性鉄が直ちに水酸化第二鉄として沈殿するので、収量低下やお米の中の鉄含量低下が起こると思われる。なので要注意である。

これに比べて畑作物では、この報告でも述べられているように、有機物施用などの土壌改良ばかりでなく、鉄欠乏耐性品種の開発が必須であると思われる。 
 

中国、アルカリ土壌地が豊かな田畑に変貌
Record China の意見

中国農業農村部はこのほど、全国の秋の農作物の収穫状況を発表しました。これによりますと、全国の秋の農作物の収穫は既に98.1%まで進んでいる上、多くのアルカリ土壌改良区域で、単位面積当たりの収穫水準が向上しています。
黄河沿岸各地の政府はアルカリ土壌地を活用して耕地面積を増やすため、農業や水利などの専門家を集めて、アルカリ土壌地に黄河の水を引き入れるなど、土壌改良に力を入れてきました。黄河の水を引く用水路や排水路など6700本以上が整備されたことで、1万2000ヘクタールの稲と小麦の高収量の用地を生み出しました。改良前には6%にも達した塩分含有量は、改良後は3%程度にまで下がり、生育条件が備わりました。
ここ数年、品種に合わせた土地改良を進めてきただけでなく、改良地にあった品種の開発にも力を入れ、より多くの耐アルカリの新品種が生まれました。
現在、中国はアルカリ土壌地の管理と高い効率での農業利用の面で、土壌排塩技術や土壌生物有機塩処理・土壌改良技術をはじめとする40以上の実用技術を持っています。品種の面では、ここ数年で累計50種類以上の耐アルカリ品種を普及させ、アルカリ土壌地の生産能力を高め続けています。総合的な管理と改良が行われた中・軽度のアルカリ土壌地では、平均的な単位面積当たり収量が通常の耕地の80%から90%に達しています。
さらに、今年は大豆と植物油生産能力向上プロジェクトを実施し、先進技術手段を用いて、未利用のアルカリ土壌地を大豆生産のための補充耕地として転用することに取り組んでいます。計画では2025年までに約30万から60万ヘクタールの未利用のアルカリ土壌地を再開発して大豆生産に当てる予定です。(提供/CRI)