2008.3.22. 北海道大学・植物栄養学研究室を訪問した
2008.3.22. 北海道大学・植物栄養学研究室を訪問した.
札幌のコンベンションホールで開催されている植物生理学会の合間に、北海道大学大学院・生物資源生産学部門・作物生産生物学分野・植物栄養学研究室(最近の大学の専攻名は非常に長たらしい!)を訪問した。渡部敏裕助教により施設を案内してもらった。現在農学部の旧い伝統ある建物を改装中で、研究室は博物館の建物に避難している。が、いずれ4月からは、元の建物に引っ越すということで、部屋は梱包の最中であった。植物の栽培は室内実験では農学部共通のファイトトロンで行っており、下記の写真のようにたとえばミヤコグサのセシュウムに対する濃度試験を行っていた(最新葉の3枚葉の葉柄に近い部分から白化して捲れ上がってくる)。
この研究室では現在ICP-MASS(PerkinElmer)を用いて、EMS(点突然変異源)で処理したミヤコグサを宮崎大学ミヤコグサ・ダイズナショナルバイオリソースプロジェクト(明石良センター長)が作成して保管しているミヤコグサMG-20種子を、低濃度の有害元素を含む培養液で栽培を行い、地上部を採取しICP-MASS(PerkinElmer:下記の写真。人物は渡部敏裕助教)によって全元素分析を行い、各元素の吸収において変異を起こしている個体のスクリーニングを進めている。全7000変異個体のうち、現在までに2000個体の分析を終わっており、M4(第4代目)種子として35個体の有望な変異体をスクリーニングしているということである。変異の検出には同時に栽培する200個体全体から得られる測定値の中で含有率が大きく増加あるいは減少している個体を選んだ。この変異個体の中に効率的な金属元素の養分吸収および体内での移動に関わる変異体の獲得が可能となった。
なおこのような手法(イオノーム解析という)は現在酵母とシロイヌナズナで行われており、植物栄養学の基盤研究として世界的に注目されている。
一番下の写真は、この研究室の大先輩である石塚喜明先生が敬愛してやまなかった新渡戸稲造の銅像である。台座には、I wish to be a bridge cross the Pacific (「我は太平洋の架け橋とならん」) という名文句が彫られている。