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-植物鉄栄養研究会-


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19生都営法特第463号
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鉄分摂取量の減少は、米国人口における鉄欠乏性貧血および関連する死亡率の上昇と平行している

Date: 2022-10-02 (Sun)

鉄分摂取量の減少は、米国人口における鉄欠乏性貧血および関連する死亡率の上昇と平行している

Decreased Iron Intake Parallels Rising Iron
Deficiency Anemia and Related Mortality
Rates in the US Population
 
Hongbing Sun1,2 and Connie M Weaver3,4
1Health Studies Institute, Rider University, Lawrenceville, NJ, USA; 2Department of Geological, Environmental, and Marine Sciences, Rider University, Lawrenceville, NJ, USA; 3Department of Nutrition Science, Purdue University, West Lafayette, IN, USA; and 4Weaver &
Associates Consulting LLC, West Lafayette, IN, USA
 
J Nutr 2021;151:1947-1955
doi: https://doi.org/10.1093/jn/nxab064.

要約
(背景) 米国では、鉄欠乏性貧血の有病率およびそれに関連する死亡率
が増加しており、その原因は不明である。
目的 鉄欠乏性貧血の有病率および鉄欠乏性貧血関連死亡率の推移と原因を調べることを目的とした。
米国全人口における鉄欠乏性貧血有病率および鉄欠乏性関連死亡率の推移と原因を検討することである。
(方法) 1日の食事性鉄摂取量、血清鉄濃度、ヘモグロビン、赤血球分布幅(RDW)、平均赤血球容積(MCV)の推移を調査した。
平均赤血球容積(MCV)の変化、CDCの鉄欠乏性貧血関連死亡率、1日の食事性鉄摂取量の変化を調べた。
CDCの死亡率、USDAの米国産食品の鉄濃度について、1999年から2018年までを分析した。
(結果)は以下の通りである。USDA Nutrient Database for Standard Reference [SR28(2015)]で濃度が改訂された食品のうち。
62.4%がSR11(1999)よりもFe濃度が低下していた。牛肉(ヘム鉄が比較的多い)で15.3%減少し、鶏肉が21.5%増加したことが、1999年から2018年のアメリカ人の食事で確認された。食事中の鉄分摂取量は成人男性で約6.6%、女性で約9.5%減少した。
米国における貧血の推定有病率の増加は、年齢と性別によって10.5%から106%の範囲であった。
鉄欠乏性貧血を死因とする年齢調整死亡率は、10万人あたり約0.04人から約0.08人へと増加した。
一方、他のすべての貧血は25%以上減少した。
平均RDWと血清葉酸濃度は増加したが、ヘモグロビン、血清鉄濃度、MCVは従来から鉄欠乏性貧血と関連するパラメータであった。
一方、従来鉄欠乏性貧血に関連していたヘモグロビン、血清鉄濃度、MCVは、この期間に減少した。
(結論) 1999年から2018年にかけて、米国人口における鉄欠乏性貧血と関連する死亡率の増加は、米国産食品の鉄濃度低下による食事からの鉄摂取量の減少と食事パターンのシフトに起因している。
 
J Nutr 2021;151:1947-1955による。
  
  
図1
米国における1999年から2018年の間に異なる貧血を死因の基礎とした年齢調整死亡率。
(A)Fe欠乏性貧血、総死亡数n=1414(男性)、n=2570(女性);
(B)非Fe栄養欠乏性(ビタミンB-12、葉酸、およびその他の栄養素)貧血、総死亡数 n = 794(男性)および n = 1380(女性);
(C) 溶血性貧血、総死亡数 n = 7793(男性)および n = 8921(女性);
(D)再生不良性貧血およびその他の貧血、総死亡数 n = 29,689 (男性)およびn = 44,358 (女性)。プロット上の数値は平均値±標準偏差。
 
 
表1
貧血治療を受けた人、推定貧血患者、および1日の食事性鉄分摂取量のEARを満たしていない人の1999から2018に至る年間平均有病率

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図1

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表1