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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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多層膜アリューロン米:多種の微量栄養素をより多く取り込むことができる

Date: 2022-01-19 (Wed)

多層膜アリューロン米:多種の微量栄養素をより多く取り込むことができる
Rice with Multilayer Aleurone: A Larger Sink for Multiple Micronutrients

Ronald Yu, Xiaoba Wu1, Jinxin Liu, Crispin A. Howitt, Anthony R. Bird, Chun Ming Liu and Philip J. Larkin

Rice (2021) 14:102 https://doi.org/10.1186/s12284-021-00543-3


(要旨)
食事に関連する非伝染性疾患は、世界中の人々の健康に大きな負担を与えている。米は広く消費されているため、食事関連疾患の予防策となる良好な食材である。
Liuらは(Proc Natl Acad Sci USA
115(44):11327-11332, 2018. https://doi.org/10.1073/pnas.1806304115) でta2-1 (thick aleurone 2-1) 変異イネが細胞層と仮性アリューロンの厚さを増加させ複数の微量栄養素が増加することを実証した。しかし、アリューロン関連栄養素の増加は、アリューロンの厚さの増加には比例しなかった。
本研究では、まず、細胞組織学的解析と透過型電子顕微鏡による観察から、ta2-1の多層膜はアリューロン細胞の構造的特徴を有していることが示された。また、フィチン酸の増加、鉄、亜鉛、カリウム、マグネシウム、硫黄、マンガンなどのミネラルの増加、トリアシルグリセロールとホスファチジルコリンの増加、遊離脂肪酸のわずかな減少、オレイン酸脂肪酸組成の増加などが確認され、これらの結果から、ta2-1ではアリューロン細胞の構造的特徴を示すことが明らかとなった。これらの結果は、ta2-1では拡大したアリューロン様層が、アリューロン特有の特徴や組成を維持しているという我々の仮説を支持するものであった。我々は、この拡大した微量栄養素シンクをさらに満たし、イネの微量栄養素を複数種強化する手段を提供するための展望を提供する。
  
      
  
(Fig.2.)
PASとCBB染色による、イネの頴果の横断面の細胞内の内容物。PASは糖鎖に結合してマゼンタに、CBBはタンパク質に結合して青に染色する。ta2-1における推定される複数のアリューロン層に存在する様々な種類の細胞。aとcはイネ・頴果腹側(a)と背側(c)の野生型アリューロン層の概観、bとdはイネ・頴果腹側(b)と背側(d)のta2-1アリューロン層の概観、e-gはdの三つの異なる領域でta2-1の外側(e)、中間(f)、内側(g)の増殖細胞層におけるアリューロン細胞。hとiは、野生型(h)とta2-1(i)のアリューロンとデンプン質の胚乳組織層を示すイネの頴果の半薄横断面である。a-dでは、黒い矢印が細胞壁を示す。dでは、e-gで用いた画像の撮影場所を黒四角で示す。e-gにおいて、1つのアスタリスクはta2-1で同定された野生型に似た構造を持つタンパク質顆粒を示す。二重のアスタリスクは、ta2-1における大きなタンパク質本体を示す。黒く閉じた三角形は、ta2-1の多層アリューロンに存在するデンプン顆粒を示す。g, hにおいて、白四角はa(腹側)およびb(背側)で使用した画像の撮影予定位置を示す。黒四角はb(腹側)、d(背側)で使用した画像の撮影予定位置を示す。黄色の楕円はサブアリュロン層を示す。a-gのスケールバー=10μm。h, iのスケールバーは0.5 mm。
  
  
Fig.3. (上)
カルコフオーホワイト染色による、イネの穎果の横断面における細胞壁の構造と組織を示すエピフオレッセンス。scale bar=10 µm
  
  
Fig.4 (下)
イネ穂軸の横断面のアリューロン細胞構造を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像。
a 野生型; b ta2-1. c-fはAGとして選択した拡大画像;c, dは野生型AG;e, fはta2-1 AG。aとbのスケールバーは10μm。c-fのスケールバー=5 µm
  
  
Fig.10.
ミネラル類の比較。左図のカリウム(K)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、リン酸(P)、カルシウム(Ca)の含有量は、左図のように、硫黄(S)、リン酸(P)、カルシウム(Ca)の含有量に準じている。
右図の鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)の含有量は、0〜6000mg/100gDW(乾燥重量)のY軸に沿ったもので、左図の鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)の含有量は、100gDW(乾燥重量)のY軸に沿ったものである。
(*P<0.05; ANOVA, Tukey's HSD test; K, Mg, S, P, Ca, Fe, Zn, and Mn, n=4).

Fig.11
脂質組成の比較。左図のTAG含有量は0&#12316;5g/100gDWの範囲で一次Y軸に、右図のPCとFFA含有量は0&#12316;0.5g/100gの範囲で二次Y軸に沿ったものである。


Fig.12
脂肪酸と脂肪酸組成の比較。 a 全形態の部分における脂肪酸組成の比較、b
オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸の組成比較(※P<0.05) ( n=4)

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Fig.2

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Fig.3, Fig.4

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Fig.10, Fig.11, Fig.12