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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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MxIRT1内のHRM と CRAC は MxIRT1小胞-細胞膜融合と金属輸送の鉄センサーとして働く

Date: 2021-12-26 (Sun)

MxIRT1内のHRM と CRAC は MxIRT1小胞-細胞膜融合と金属輸送の鉄センサーとして働く

HRM and CRAC in MxIRT1 act as iron sensors to determine MxIRT1 vesicle-PM fusion and metal transport

Song Tana,b, Xi Zhangb, Qi Zhangb, Yu-Meng Li , Peng Zhang, and Li-Ping Yin

PLANT SIGNALING & BEHAVIOR https://doi.org/10.1080/15592324.2021.2005881

(要旨)
IRON-REGULATED TRANSPORTER1 (IRT1)は根の鉄吸収に必須であり、その細胞膜へのexocytosisは界面活性剤抵抗性膜によって制御されている。
しかし鉄の存在状態に対する応答におけるIRT1 exocytosis とその作用に関するこれまでの研究は限られている。
今回我々はMxIRT1のHistidine rich motif (HRM) が直接鉄と結合し、このHRMがMxIRT1 を細胞膜に運ぶ決定をし、その後cholesterol recognition amino acid consensus (CRAC)によって制御されたMxIRT1が金属輸送を行うことを発見した。
IMACアッセイ法によってH192がHRM が Fe2+と結合する不可欠な部位であり、金属-結合活性はHRM(MxIRT1∆HM)の欠失の後、または、H192 site-directed変異(H192A)でストップした。トランスジェニック・酵母とトランスジェニック・シロイヌナズナのMxIRT1∆HMまたはH192Aは、細胞膜で局在することができないで、鉄の吸収を阻害した。
細胞膜において、CRACのY266は、金属輸送のために必要とされた;
Y266Aトランスジェニック・シロイヌナズナは、鉄欠乏下のシロイヌナズナ変異体irt1と同様の、根長、Cd2+排出とFe濃度を示した。
したがって、HRMのH192は、鉄と結合した後に細胞膜にMxIRT1小胞の輸送を制御する鉄のセンサーであるかもしれない; CRACのY266は、鉄欠乏下の活発な金属輸送のための鉄のセンサーの働きをしている。


以下図の説明。図の説明文は全部訳しているが、画面の都合上図1、図3、図4、図6 のみを掲載している。

  
図1。IRT1sのループの間のHistidine rich motif (HRM)のシーケンス配列とMxIRT1変異体の模式図。
A, HRMのMxIRT1と他のIRT1sの間のDNA配列の比較。
同一のアミノ酸残基は黒い背景の上で示され、類似の残基は灰色の背景の上にある。
アミノ酸残基がないところは、“-”と示している。
B, IRT1のHRM間のアミノ酸残基の生起確率。
確率を定量化し、そして、アミノ酸間は異なる色によって表示されている。
X軸の値は、HRM内でのアミノ酸の位置を表している。
C, MxIRT1のヒスチジンのsite-directed 変異体とHRM欠失変異体(ΔHM)の模式図。
変異アミノ酸残基の特徴は、左側に赤で、詳細な配列情報は右側に記述されている。
D, MxIRT1のHRMポイント変異と欠失変異の名前と配列。

 
図2。ベクター(GFP)、MxIRT1ΔHM(MxIRT1ΔHM-GFP)、トランスジェニックMxIRT1(MxIRT1-GFP)とWT(野生型)シロイヌナズナの表現型と機能の比較。
A, ベクター、MxIRT1ΔHM、トランスジェニックMxIRT1と野生株の 7日齢シロイヌナズナの表現型。バー= 1cm
B,トランスジェニック・シロイヌナズナでGFP抗体を用いて、ベクター、MxIRT1ΔHM、
C, 7-日前のトランスジェニック株および野生株シロイヌナズナの根の長さ(cm)と葉緑素含有量(SPAD-502で測定)。
D, 0.05 mM CdCl2濃度下でのNMTによるトランスジェニックおよび野生型シロイヌナズナの根でのトランジェントなCd2+流入。
E,トランスジェニックおよび野生型シロイヌナズナのNMTによる平均Cd2+流量。
右側のイメージは、NMTで使われる根毛とCd2+特異的微小電極の測定位置を示す。
80回以上測定した。
F, ベクター(GFP)、MxIRT1ΔHM-GFP、トランスジェニックおよび野生型シロイヌナズナの中のMxIRT1-GFPの細胞内局在。
GFP、緑の蛍光タンパク質は、融合タンパク質の位置;
DIC、位相差顕微鏡観察。
バー= 10のµm。


図3。
酵母でのポイント変異株のMxIRT1 HRMの機能分析と細胞膜局在。
A, 酵母は0.1、0.01、0.001および0.0001と等しいOD600の光学濃度に薄められて、3日の間28℃でウラシルを含有する(SD-Ura培地)ガラクトースなしの合成培地に滴下された(各4µL)。
pYES2.0(ベクター)を含んでいる酵母変異体DEY1453(fet3fet4)、MxIRT1、MxIRT1ΔHM、および3つの MxIRT1 His site-directed 変異株は、FeSO4または二価鉄キレート剤(BPDS)を含んでいるSD-Ura培地で生育させた。
B,トランスジェニック・酵母の鉄の含有量は、ICP-MSを用いて測定した。
各区3連。
C,ベクター、MxIRT1、MxIRT1ΔHMと主な3種類のMxIRT1 His site-directed 変異株の細胞内の局在。
GFP、緑色の蛍光タンパク質は、融合タンパク質の位置を示す;
FM4-64は、細胞内膜システム染料は、細胞膜を意味する;
結合像は、緑の蛍光と赤い蛍光を示している共通部分の画像;
DICは、位相差顕微鏡像。蛍光は、FM4-64を与えて30分後に観察した。


図4。
MxIRT1 HRMのワンポイント突然変異体の機能分析と細胞膜局在。
A, ベクター(GFP)の表現型、MxIRT1(MxIRT1-GFP)、と3種類のMxIRT1 His site directed 変異体(HnA-GFP)と野生系シロイヌナズナの土壌での生育30日め。
B, ベクター, MxIRT1 、 MxIRT1 HRM ポイントミュータントなどのトランスジェニック・アラビドプシスをGFP抗体で染めてウェスタンブロッテイングでgfpタンパクの発現を検出した。
C, 30日齢シロイヌナズナで草丈(cm)と葉緑素含有量(SPADインデックス)。
葉緑素は、SPAD-502葉緑素メーターで30日齢シロイヌナズナの葉で測った。
各区3連。
D, イネプロトプラストでの、ベクター、MxIRT1、MxIRT1ΔHM、と主な3種類の MxIRT1の細胞内局在。
GFP、緑の蛍光タンパク質は、融合タンパク質の位置を示す;
FM4-64は、細胞内膜システム染色で細胞膜示す;
結合像は、緑の蛍光と赤い蛍光を示している共通部分の画像;
DICは、位相差顕微鏡。
蛍光は、FM4-64を30分加えた後に観察した。


図5。immobilized metal ion affinity chromatography (IMAC)を使用してMxIRT1 HRM点突然変異体の鉄結合能の分析。
A, MxIRT1 と MxIRT1 HRM 変異体の鉄との親和性のIMACによる検出。
カラムは、FeSO4(Fe2+)でチャージした。
MxIRT1とその変異体とGSTの融合体、ネガテイブコントロールとしてGST,または、IDEF1に融合したGSTをポジテイブコントロールとしてカラムに乗せた。
カラムは、結合していないタンパク質を除去するために洗浄した。
カラムに結合されたタンパク質は、イミダゾールの濃度を増やすことで抽出した。
滴下液はドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動ののち、蛍光染色法を用いて検出した。
B, 各々の滴下液におけるタンパク質のパーセンテージ。


図6。十分な鉄投与条件下での、アラビドプシスの、ベクター(GFP)株、MxIRT1 CRAC motif site-directed mutagenesis (L262A-GFP, Y266A-GFP, K270A-GFP) 遺伝子導入株と 野生株の表現型と機能分析。
A, 土壌で生育させた30日齢の野生株と CRAC site-directed mutagenesis 遺伝子導入アラビドプシスの表現型。
B, シロイヌナズナのベクターとCRAC motifのポイント変異株と野生株の発現をGFP抗体を用いてウエスタンブロッテイングで検出した。
C, 土耕栽培した30日齢シロイヌナズナの葉長と葉幅。
各区3連。
D, 1/2のMS培地で10日齢のベクター(GFP)株とCRAC motifのポイント変異株と野生株の根の表現型。
E, 1/2のMS培地での根長。それぞれはシロイヌナズナの、ベクター、トランスジェニックMxIRT1 CRACのモチーフ点突然変異株。各区3連。
F, 鉄十分条件下でのMxIRT1 CRACのモチーフ点突然変異株の根の平均Cd2+流量比較。80回以上測定した。


図7。鉄欠乏条件下でのベクター(GFP)、MxIRT1 CRAC motif のsite-directed mutagenesis (L262A-GFP, Y266A-GFP, K270A-GFP) トランスジェニック植物と野生株の表現型および機能分析。
A, 鉄十分条件下での10日齢の表現型。シロイヌナズナの、ベクター(GFP)、CRAC点突然変異株と野生株。
トランスジェニック種は通常条件で播種して、発芽後3日目に鉄欠乏条件(1/2のMS + 300µM Ferrozine)に移した。
B, 鉄欠乏条件下での根長。シロイヌナズナの、ベクター、MxIRT1 CRACモチーフ点突然変異株と野生株。各区3連。
C, MxIRT1 CRACのモチーフ点突然変異トランスジェニック・シロイヌナズナの鉄欠乏条件下での根の平均Cd2+流量を比較してください。80回以上反復測定した。
D, 鉄欠乏培地での体内Fe濃度。ベクター、MxIRT1 CRACのモチーフ点突然変異と野生型アラビドプシス。ICP-MSで定量。3連平均。



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図1

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図3、図4

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図6