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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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YABBY転写因子が発達中の種子に鉄を付加させることを制限することは、アラビドプシスが成功裏に種子を再生産することを保証する

Date: 2021-11-04 (Thu)

この論文は、アラビドプシスの種子に鉄が過剰集積するとフェントン反応で種子形成が阻害されるので、適切に鉄吸収を制御するための機構があることを示し、その遺伝子を特定している。
       
  
YABBY転写因子が発達中の種子に鉄を付加させることを制限することは、アラビドプシスが成功裏に種子を再生産することを保証する
 
Restriction of iron loading into developing seeds by a YABBY transcription factor safeguards successful reproduction in Arabidopsis
   
Li Sun, Yun Qi Wei, Kang Hao Wu, Jing Ying Yan, Jie Na Xu, Yun Rong Wu, Gui Xin Li, Ji Ming Xu, Nicholas P. Harberd, Zhong Jie Ding1 and Shao Jian Zheng
   
Molecular Plant 14, 1624-8211;1639, October 4 2021
   
https://doi.org/10.1016/j.molp.2021.06.005
   
(要旨)
鉄を種子に貯蔵することは発芽後の幼植物の定着に必要であるばかりでなく、人間やその他の動物の食事の主要な鉄源でもある。種子形成の初期には鉄の集積は低いことが分かっている。
しかしそのメカニズムと生物学的意味についてはまだ不明なところがある。
本論文ではアラドプシスのYABBY転写因子であるINNER NO OUTER (INO)の低発現は胚芽の鉄集積を増加させるが、INOを過剰発現させると逆の効果が起こることを示す。
INOは種子形成の初期に高発現するが、INO発現が減少すると鉄を種子に負荷するのに貢献するトランスポーターであるNATURAL RESISTANCE-ASSOCIATED MACROPHAGE PROTEIN 1 (NRAMP1)の発現が増加する。
低いINO発現によるこの相対的に高い胚芽での鉄集積はloss-of-function変異株nramp1によって回復する。
さらに我々はINOがNRAMP1特異的プロモーター領域と結合してNRAMP1の発現を抑制することを示した。
面白いことに、ino遺伝子変異株への過剰の鉄負荷は大きな酸化ストレスを招き、細胞死を増加し、種子の発育不全に至らしめるが、これはnramp1変異株では救済できる表現型である。
まとめると、これらの結果からINOはNRAMP1の発現を抑制しながらFeの登熟中の種子への負荷を低減させることによって、次世代形成を保護しているのである。
  
     
   
図1の説明。
INOは種子への鉄集積を制御する。
(A) 野生型WT (Col-0), INO T-DNA挿入変異株, 過剰発現株. それぞれの種子を鉄十分(+Fe)あるいは鉄欠乏(-Fe)培地で育てて、なお5日後のもの。
(B)鉄十分と鉄欠乏条件下での根の長さ.データは12個体の平均値.
(C)鉄有り条件下と鉄なし条件下でのクロロフィル含量. 各区3連平均値.
(D)パール染色による新鮮な胚芽の鉄集積. スケールバーは0.5mm.
(E)ICPMassによる乾物種子重あたりの鉄含量。1000粒種子を3会反復測定した。
      
     
図2の説明。
ino変異株種子への鉄の過剰集積は種子の着粒率を低下させる。
(A) CK(50 mM)で高Fe(400 mM)のWT, ino-9, ino-10, nramp1, ino-9 nramp1 などの長角果植物。スケールバーは1mm.
(B) CK(50 mM)で高Fe(400 mM)条件下での、着種子率。矢印は流産種子の位置。
    
     
図3の説明
ino変異株では発達中の長角果でROSの集積が起こっている。
ROS accumulation is increased in developing siliques of ino mutants.
(A) 高鉄濃度(400mM)栽培条件下でのWT, ino, and ino-9 nramp1株の長角果でのROSの集積。H2DCF-DAで検出した。
(B)上記各株のH2DCF-DA蛍光強度による定量。
(C)INOがNRAMP1の発現を抑制する作用によって胚芽の鉄の過剰集積を制限して、良好な種子形成に資するというモデル。oi, 珠皮の外側; ii, 珠皮の内側.

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図1

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図2

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図3