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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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バイオインフォ―マテイックスの手法を用いたイネの鉄過剰応答機構に関係する新規のシス制御配列とプロモーター構造の解明

Date: 2021-07-02 (Fri)

以下の論文は、鉄過剰に応答する新規遺伝子の発見である。筧君やりましたね。おめでとう!

  
   
バイオインフォ―マテイックスの手法を用いたイネの鉄過剰応答機構に関係する新規のシス制御配列とプロモーター構造の解明
Elucidation of Novel cis-Regulatory Elements and Promoter Structures Involved in Iron Excess Response Mechanisms in Rice Using a Bioinformatics Approach
  
Yusuke Kakei, Hiroshi Masuda, Naoko K. Nishizawa, Hiroyuki Hattori and May Sann Aung
   
(要約)
鉄(Fe)過剰は淡水条件下の酸性土壌では、作物生産、特にイネの栽培での主要な制約条件となっている。
 
鉄過剰下では植物は複雑なメカニズムと、根からの鉄の排出や様々な組織で鉄の隔離を行うネットワークを、活性化させる。
 
イネでは鉄過剰応答制御のメカニズムである転写因子やシス制御配列(CREs)などはまだまだ不明である。
 
我々は以前に様々なイネの組織で様々なレベルでの鉄過剰に応答する包括的なマイクロアレイ解析について報告した。
 
本報告では、このマイクロアレイ解析データを用いて、イネの新しいCREsとプロモーター構造を、バイオインフォマテイックスの手法を用いてさらに開明した。
 
まず我々は鉄過剰関連CREsを予測するために鉄過剰応答転写reguronをカテゴライズして、4つの主要なクラスターを見出した:鉄貯蔵型、鉄キレート型、鉄吸収型、それにWRKYとその他の共発現タイプである。
 
次に我々がこれら4つの遺伝子発現クラスターのなかのCREsを探索したのは、我々が以前に開発していたmicroarray-associated motif analyzer (MAMA)と呼ばれる手法を用いてである。
 
包括的なバイオインフォーマテイクスを通して、我々はMAMA分析によって全部で560個のCREを抽出し、CREsのうちの様々なイネの組織で鉄過剰応答に直接関係する42個の重要な保存配列を抽出した。
 
我々は鉄過剰CREsの新規のcis-配列候補としてGCWGCWGC, CGACACGC, そして Myb結合様モチイーフを探し当てた.
 
MAMAやよく知られたPLACE CREsの手法を用いた候補CREsの有無を基に、Boruta-XGBoostモデルでの発現パターンを約83%という高い精度で説明できることを見出した。
 
新規のMAMA CREsと既知のPLACE CREsによって濃縮された配列は高い精度の発現パターンを示した。
 
我々はまた鉄過剰応答の既知のCREsの新しい役割も見出した、例えばDCEp2 motif, IDEF1-, Zinc Finger-, WRKY-, Myb-, AP2/ERF-, MADS- box-, bZIP と、鉄過剰応答遺伝子群の中の bHLH-結合配列
 
さらに新規に発見されたCREsにもとづいて鉄過剰応答遺伝子群の分子モデルとプロモーター構造を構築した。
 
総括すると鉄過剰関連CREsと保存配列に関する我々の発見は、鉄過剰応答代謝に関係する遺伝子や転写因子の発見や、イネの鉄過剰応答の解明や、将来はプロモーター配列の鉄過剰耐性品種の作出への応用など、総括的な資源を提供することになるだろう。
 
 
 
以下表と図の説明
 
表1 遺伝子発現パターンモデルの重要なモチーフ

表2 各組織から抽出されたCRE候補
(A)最新葉、(B)古い葉、(C)茎、(D)DC、(E)根。DCはdiscrimination centerの略で、根と葉の結合節位。
  
白い背景のセルはウインドウ幅–50から+150間のCRE候補。色付きの背景はTSSの500bp上流のCRE候補。(N)はこれまでに報告がなかったCRE.
  
CpG islands/E2F (CGCGCGCA)モチーフはCGCGCGCG, CGCGCGTA, CGCGCGTGの異形で、“(CpG islands/E2F)”と注釈されている。
 
モチーフの利得は、(number in regulon)/(total length of 500 bp upstream or –500 bp to +150 bp sequence of regulon)を(number in all genes)/(total length of upstream 500 bp sequence of all genes)で割ったものである。
  
P-値はnumber of motifs found in regulon, number of regulon genes, chance of motif found in all genesなどを使う二項式テストで計算した。
利得とp−値も同じく、すべての遺伝子配列のかわりにランダム配列の同じサイズのものを用いて計算した。
  
   
図1 鉄過剰応答遺伝子制御の代表的な分子モデル
転写因子IDEF1はCATGCATGに結合し、bZIPはSGBFGMGMAUX28に結合し、TBPはCTATAAATに結合し、CAB2はCRTDREHVCBF2に結合する。
  
CTACACCT, FAM1, and DCEp1に結合する転写因子(TFs)は未知で、TAF, TBP associated factor.として“Unknown TF”と示してある。

%は以下のように計算した((Percentage of specific type genes in specific branch) × (percentage of all types in specific branch))/(percentage of specific type (20%)/percentage of all types (100%)). 例えば、Bモデルに記載されている12.5%の鉄吸収タイプ遺伝子 配下のように計算された:(0.05 * 0.50)/(20/100) = 0.125.

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表1

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表2

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図1