WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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こんな賞は誰も知らない: 科学者は中国共産党の世界戦略(超限戦)に乗るな

Date: 2021-05-04 (Tue)

  以下の「世界農業賞」という新設の賞は、もらったことがある人しか世界の科学者は誰も知らないだろう。
       
  中国共産党はいろいろな国際賞やいろいろな国際誌を発行して、着々と全学問分野での世界制覇を狙っている。いわゆる「超限戦」である。そんな、中国共産党の世界戦略に唯々諾々と世界の研究者が巻き込まれていく。そういう研究者は卑しい。
    
  今回、ここで受賞している中国農業大学の Fusuo Zang氏は 「植物栄養の学問領域はZhang博士が率いる学者グループによって初めて確立された」と紹介されている。

  これは大間違いである。とんでもない。

  小生は彼と同じく、植物栄養学が専門である。彼の中国農業大学で講義をしたこともあるし、彼が主催する当番になった「International Plant Nutrition
Colloquim :国際植物栄養科学会」にも参加したことがある。植物栄養学の専門家なら、この学問領域は1840年代のドイツの大有機化学者ユスツス・フォン・リービッヒ以来の旧い旧い学問であることは満天下に周知の事実である。
      
  一時1960年代に、ソビエト連邦が科学史を全部書き換え、また、それぞれの分野の学問の創始者を全部ソ連邦出身者にして書き換えてしまったことがある。おなじ欺瞞を今後は中国共産党が始めたわけである。
     
  
    
【南京(中国)2019年12月1日新華社=共同通信JBN】2020年GCHERA World Agriculture Prize(WAP、世界農業賞)の授賞式と2020 World Agriculture Dialogue(2020年世界農業対話)が北京時間12月1日、南京農業大学(Nanjing Agricultural University、NAU)で開催された。南京農業大学によると、中国農業大学のZhang Fusuo教授とカリフォルニア大学デービス校のPamela Ronald教授が農業、生命科学教育、科学研究における卓越した業績によって今年の世界農業賞を受賞した。

Zhang Fusuo博士は中国工程院の会員であり、中国農業大学のCollege of Resources and Environmental Science(資源環境科学カレッジ)の植物栄養専門家、National Academy of Agriculture Green Development(全国農業グリーン開発アカデミー)会長である。植物栄養の学問領域はZhang博士が率いる学者グループによって初めて確立された。これは、植物栄養の基本原理を科学的基盤の施肥や植物生理学、土壌学、作物栽培学、栄養素管理などの実用的な科学と結び付け、環境の安全性を保ちながら、資源の効率的な利用、高品質で優れた出来高の収穫を達成した。

Pamela Ronald博士は全米科学アカデミーの会員で、カリフォルニア大学デービス校のDepartment of Plant Pathology and the Genome Center(植物病理学部とゲノムセンター)の特別栄誉教授兼食品農業リテラシー研究所の創設所長である。同博士は、作物における病害抵抗性と環境ストレス耐性向上の研究を専門とし、植物のストレス抵抗性と生物学的育種の分野で重要な貢献を果たした。

WAPはGlobal Confederation of Higher Education Associations for Agricultural and Life Sciences(GCHERA、農学生命科学高等教育協会世界連盟)によって設けられた国際的な賞である。同賞は農業および生命科学の分野での教育、研究、イノベーションへの優れた貢献を行った個人を奨励することを目的とする。賞金は1人当たり10万米ドルで、同賞はNAU Education Development Foundation(南京農業大学教育発展基金)とDa Bei Nong Groupが後援している。

WAPはこれまで7回授与されており、米国、ドイツ、カナダ、ベルギー、チリ、ガーナの8人の科学者が受賞した。同賞は国内外で広範にわたる影響を与え、関連分野での国際交流と協力を推進し、世界の科学者を鼓舞し、全世界の農業と生命科学におけるイノベーションを促進している。