WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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カブトムシに対するdsRNA農薬の可能性

Date: 2021-04-21 (Wed)

RNAi効果は花粉媒介昆虫へdsRNAを長期間食べさせることによって促進される
 
RNAi efficacy is enhanced by chronic dsRNA feeding in pollen beetle
 
Jonathan Willow, Liina Soonvald , Silva Sulg , Riina Kaasik , Ana Isabel Silva , Clauvis Nji Tizi Taning , Olivier Christiaens , Guy Smagghe & Eve Veromann

COMMUNICATIONS BIOLOGY | https://doi.org/10.1038/s42003-021-01975-9

(要旨)
 
2重鎖RNAs(dsRNAs) はバイオセーフ殺虫剤として有望である。我々はαCOPを標的としたdsRNA (dsαCOP)を短期(3日)と長期(17日)について投与してBrassicogethes aeneusのRNA 干渉 (RNAi)の可能性を調べた。
 
短期間でのdsαCOP供与では、最高濃度のものだけが有意にB. aeneusの生残率を下げたが、長期間のdsαCOP供与では、3種類すべての濃度で有意な致死率を示した。
 
長期間のdsαCOP供与では同じ濃度のdsαCOPの短期供与に比べて有意に致死率が高かった。
 
我々の実験結果は作物の害虫管理に対して経済性や、dsRNA散布法の開発について意味があるものである。すなわち、高濃度のdsRNAを一回投与するよりは作物の生育ステージにまたがって低濃度のdsRNAを頻回散布する方がより高い殺虫効果が得られるということである。
  
更に我々の結果は、もしB. aeneus のdsRNA の長期間採食が短期間採食よりもRNAi効率が促進されるようならば、油性菜種にRNAiを導入した品種を開発する研究の必要性に光を当てるものである。
 
 
 
図1。各3連のRNAi アッセイ処理によるカブトムシ(Brassicogethes aeneus)の生残率(%)。
 B. aeneusの生残率:短期(3 days)と長期(17 days)にわたるdsRNA処理:dsαCOPを 0.5 μg/μL、 2.5 μg/μL 、5 μg/μL濃度で処理した。dsGFP 5 µg/µL濃度処理は 対照区

(*)は対照区に対する有意差あり(p < 0.05)。色付きのアステリスクは対応する濃度のdsRNA。三角形の中のアステリスクは短期dsRNA処理に対応する有意差あり。円の中のアステリスクは長期dsRNA処理に対応する有意差あり。(#)はdsRNAの短期処理と長期処理の間での生残の有意差あり(p < 0.05)。(#)の色は対応するdsRNAとその濃度。アステリスクと(#)とは値が有意になった時点で示している。

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図1