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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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植物のイオノーム(ionome)に影響する遺伝子群を取りまとめたリストについて

Date: 2021-02-02 (Tue)

植物のイオノーム(ionome)に影響する遺伝子群を取りまとめたリストについて
  
A curated list of genes that affect the plant ionome
Lauren Whitt, Felipe Klein Ricachenevsky, Greg Ziegler Ziegler, Stephan Clemens, Elsbeth Walker, Frans J. M. Maathuis, Philip Kear, Ivan Baxter
  
Plant Direct. 2020;00:1–15. _wileyonlinelibrary.com/journal/pld3
    
(要旨)
  
植物の環境適応に関する、根底にあるメカニズムを理解するためには、元素組成の根底にある遺伝子や対立遺伝子に関する知見が必要である。
  
現代遺伝学はDNAのどの領域が、今問題としている特定の表現型に関連しているかを、迅速に安価に指摘することができる。しかし多くの遺伝子の注釈はまだ貧弱であり、候補遺伝子の同定は陰に隠れている。
  
元素の集積に関する候補遺伝子の同定を助けるために、我々は既知のイオノーム遺伝子“known ionome gene(KIG)”リストを作成した。これらは、元素の吸収、集積、分布に関して、実験的に明らかにされている遺伝子を取りまとめたコレクションである。
  
我々はまた、PhytoMineデータベースを用いて、ほかの植物種にあるKIG・ortholog(相同遺伝子)のリストを浮かび上がらせるために、自動化されたコンピューターパイプラインを構築した。
  
現在のKIGバージョンは5「種」の、23元素の、176の既知の遺伝子を含んでおり、また「10種」の中に含まれる1588コの相同遺伝子を含んでいる。
 
既知遺伝子を分析すると、その多くはモデル植物であるArabidopsis thalianaで同定されたものである。また、輸送体をコードする遺伝子や鉄や亜鉛の集積を変化させる遺伝子などは目下のリストでは不自然なほど高比率に含めていることになっている。
 
 
 
図1 各元素の各「種」に含まれる優先遺伝子の数
  
図2 既知のイオノーム遺伝子リストに貢献する各組織タイプに含まれる優先遺伝子数の貢献度。 地上部は雄蕊、葉、種子、分枝。地下部は根と根粒。

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図1

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図2