WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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FeSO4と比較してFe-ASPは、ヒマワリへの葉面散布で、より優れた乾燥耐性を与える

Date: 2020-09-02 (Wed)

以下は、単純な「ぶっかけ試験」ではあるが、訳者(森敏)が知らなかったAsp-Feというキレート化合物の農業利用なので、紹介した。しかし、なぜこのような化合物が開発されたかの着想は、書かれていない。
パキスタン、サウデイアラビア、エジプト、台湾の総合的な研究グループによるものなので、乾燥地域で実用性が高い技術と考えられる。
    


FeSO4と比較してFe-ASPは、ヒマワリへの葉面散布で、より優れた乾燥耐性を与える:収量特性、浸透圧調整、抗酸化防御などの機構について
  
Foliar Spray of Fe-Asp Confers Better Drought tolerance in Sunflower as Compared with FeSO4: Yield Traits, Osmotic Adjustment, and Antioxidative Defense Mechanisms
Qasim Ali, Shafaqat Ali, Mohamed A. El-Esawi , Muhammad Rizwan,
Muhammad Azeem , Abdullah Ijaz Hussain, Rashida Perveen, Mohamed A. El-Sheikh, Mohammed Nasser Alyemeni and Leonard Wijaya
Biomolecules 2020, 10, 1217; doi:10.3390/biom10091217

(要旨)

作物の種子の収量や品質に対して水ストレスが及ぼす阻害効果を軽減させるための様々な方策が試みられてきた。
 
本研究では圃場で生育するヒマワリの水ストレス耐性を向上させるために、環境にやさしいキレート体アスパラギン酸(Fe-Asp)を葉面散布し、FeSO4の効果と比較した。
  
水ストレスは水関連代謝、栄養獲得、アミノ酸集積、抗酸化ストレスをかく乱して植物の成長や収量を低下させる。しかし、脂質過酸化、全アントシアン含量、光合成色素などは向上させru

 
FeSO4 や Fe-Aspを葉面散布すると、節水栽培によるマイナス効果を減少させて、バイオマス生産量、種子の収量を増し、脂質過酸化の減少、水関連代謝、抗酸化メカニズム、葉の光合成色素を向上させた。
 
Fe-Aspの葉面散布はFeSO4と比べて、水代謝をより向上させて、必須アミノ酸のさらなる集積と栄養素の獲得、とりわけ葉のアスパラギン酸含量と鉄の集積が見られたので、これらはより優れた移行を示したものと考えられた。
 
結論として、ヒマワリにおいて、Fe-Aspの葉面散布はFeSO4よりも乾燥耐性を誘導することが証明された。
   
本研究により、ヒマワリの節水栽培で、Fe-Aspの葉面散布が成長と収量にとって環境にやさしい方法として推奨できることが分かった。