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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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ナノキレートテクノロジーを用いたコメの生物的強化と収量の増加

Date: 2020-05-01 (Fri)

ナノキレートテクノロジーを用いたコメの生物的強化と収量の増加
  
Using Nanochelating Technology for Biofortification and Yield Increase in Rice
Saideh Fakharzadeh, Maryam Hafizi, Mohammad Ali Baghaei, Maral Etesami1, Maryam, Khayamzadeh, Somayeh Kalanaky, Mohammad Esmaeil Akbari, Mohammad Hassan Nazaran
  
Scientific Reports volume 10, Article number: 4351 (2020)
   
要旨
   
鉄は生命の維持に必須な微量元素であり、植物代謝に重要な役割を演じている。大量の化学肥料を用いることは作物の可食部への重金属や有害な成分など新たな病気のリスク因子を増やしている。であるから、さらに多くの肥料を用いることなく収量を増やすべく、新しいテクノロジーを用いることが必須である。その意味において、ナノテクノロジーは農業において価値あるアウトプットを創造するのに、少なからざる可能性を秘めている。
ナノキレート鉄肥料は、新規なナノキレートテクノロジーに基づいて合成されたものであり、本研究ではこの、イネの農業上の形質や収量に及ぼす影響を評価した。
ランダマイズした完全なブロックデザインした実験計画法により3反復の実験を行った。

それぞれの処理区は:
T0 (control), T1 (2.5g/L 1週間の間隔をあけて2回育苗箱にて葉面散布), T2 (分蕨時に葉面散布+T1), T3 (止葉の時に葉面散布+T1), T4 (分蕨時と止め葉時に葉面散布+T1), T5 (8kg/ha 分蕨時に土壌処理+T1), T6 (8kg/ha 止め葉時に土壌処理+T1), T7 (4kg/ha 分蕨時に土壌処理+4kg/ha 止め葉時に土壌処理+T1)である。

ナノキレート鉄は生体重を27%増加し空モミを254%減少させた;さらにタンパク含量を13%増加させた。
この肥料は同時に白米のN, P, K, Fe, Znの濃度を、それぞれ46%, 43%, 41%, 25% , 50%増加させることになった。
ナノキレートテクノロジーは化学肥料の必要量を減らし、さらに、作物の微量栄養素の生物的強化うる可能性を有している。



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