栽培稲では鉄吸収の2つの兼務戦略は両立しないものではない
栽培稲では鉄吸収の2つの兼務戦略は両立しないものではない
The Combined Strategy for iron uptake is not exclusive to domesticated rice (Oryza sativa)
Andriele Wairich , Ben Hur Neves de Oliveira, Ezequiel Barth Arend, Guilherme Leitão Duarte, Lucas Roani Ponte , Raul Antonio Sperotto , Felipe Klein Ricachenevsky & Janette Palma Fett
Scientific Reports | (2019) 9:16144 | https://doi.org/10.1038/s41598-019-52502-0 1
鉄は必須微量元素であるが植物にとって利用可能でない場合がしばしばある。
イネ (Oryza sativa L.)は鉄吸収のための戦略として、すべてのPoaceae属が持つStrategy IIの装置と、非Poaceae属の持つStrategy-Iのある種の装置も持っている。
鉄吸収メカニズムの進化を理解するためにのO. sativa と その野生の原種であるO. rufipogonについて、根の鉄欠乏に対する転写応答を解析した。
我々はO. sativaで622の、O. rufipogonで2017個の発現が異なる遺伝子を同定した。
両者の品種で鉄欠乏でアップレギュレートしていた遺伝子として、Strategy-Iに属するトランスポーターであるIRT1, IRT2, NRAMP1を、Strategy IIに属するYSL15 と IRO2を見出した。
他のPoaceae属にこれらの戦略が保存されているかどうかを証明するために、我々はこれらの遺伝子の相同遺伝子を9種類のOryza種である、maize と sorghumから同定し、低鉄濃度下での発現プロファイルを明らかにした。
われわれの結果は両具性の鉄獲得戦略は、これまで提唱されてきたようにO. sativaに特有のものではなく、栽培稲の近縁種にも存在し、拡散したOryza内のAA genome系統周辺に起因すると考えられた。
それ故に、湛水土壌でのIRT1経由のFe2+獲得への適応はO. sativaの栽培イネ化に先行するものである。