WINEP

-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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レビュー:フェロトーシス(Ferroptosis)入門:連結代謝、酸化還元生物学、病気と連携した制御された細胞死

Date: 2019-04-25 (Thu)

フェロトーシス(Ferroptosis):連結代謝、酸化還元生物学、病気と連携した制御された細胞死

Ferroptosis: A Regulated Cell Death Nexus Linking
Metabolism, Redox Biology, and Disease

Brent R. Stockwell, Jose´ Pedro Friedmann Angeli, Hu¨ lya Bayir, Ashley I. Bush, Marcus Conrad, Scott J. Dixon,
Simone Fulda, Sergio Gasco´ n,Stavroula K. Hatzios, Valerian E. Kagan,Kay Noel, Xuejun Jiang,
Andreas Linkermann, Maureen E. Murphy,Michael Overholtzer, Atsushi Oyagi, Gabriela C. Pagnussat,
Jason Park, Qitao Ran, Craig S. Rosenfeld, Konstantin Salnikow, Daolin Tang, Frank M. Torti, Suzy V. Torti,
Shinya Toyokuni, K.A. Woerpel, and Donna D. Zhang

Cell 171, October 5, 2017 ª 2017 Elsevier Inc. 273

フェロトーシスとは、鉄依存性脂質過酸化物の致死レベルまでの集積に特徴付けられた、制御された細胞死の様式の事である。
これまで台頭してきている証拠からは、フェロトーシスは 多価不飽和脂肪酸の細胞膜への流入によって引き起こされた生来の細胞の脆弱性を代表するものであり、細胞はこの脆弱性に対して、このフェロトーシスを異なる文脈で活用したり防御したりする複合システムとして発達させてきたのである。 
フェロトーシスに対する感受性は、アミノ酸、鉄、多価不飽和脂肪酸代謝、グルタチオン、リン脂質、NADPH,コエンザイムQ10などの生合成など、多数の生物学的プロセスと強固にリンクしている。
フェロトーシスは 人間における変性病(アルツハイマー、ハンチントン、パーキンソン病)、発がん、脳卒中、大脳出血、外傷性脳障害、ischemia-reperfusion injury、腎臓変性などの病理に影響しており、植物ではヒートストレスにも影響している。
フェロトーシスは腫瘍抑制作用があり、それはがん治療に役立ちうる。

この入門書は フェロトーシスの根底に流れるメカニズムをレビューし、生物学や医学との関連に照明を当て、この新しく台頭してきた制御された細胞死に関して研究する手法やガイドラインを提案するものである。


下図1と2の説明

図1.GPX4はグルタチオンを多価脂肪酸を含むリン脂質に生じた脂質過酸化物を消去するために使う。
System xc_はシスチン(cystine)を細胞内に輸送し、シスチンは還元されてシステイン(cysteine)となりグルタチオン(glutachione)合成に使われる。グルタチオンは脂質過酸化物を除去するGPX4のコファクターとして必須である。
   
図2.フェロトーシスをコントロールする代謝経路。
指摘している経路はフェロトーシスの感受性を制御している。

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図1

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図2