鉄のトランスポーターとフェリチンを遺伝子操作したキャッサバの圃場試験による鉄と亜鉛の強化

鉄のトランスポーターとフェリチンを遺伝子操作したキャッサバの圃場試験による鉄と亜鉛の強化の確認

Biofortification of field-grown cassava by
engineering expression of an iron transporter
and ferritin

Narayanan Narayanan, Getu Beyene, Raj Deepika Chauhan, Eliana Gaitan-Solis, Jackson Gehan,
Paula Butts, Dimuth Siritunga, Ihuoma Okwuonu, Arthur Woll, Dulce M. Jimenez-Aguilar,
Erick Boy, Michael A. Grusak, Paul Anderson and Nigel J. Taylor *

Nature Biotechnology VOL 37, 144 FEBRUARY 2019,144–151


（要旨）

西アフリカの人口の鉄と亜鉛の平均必要量（EAR）の10％以下が主要作物であるキャッサバの貯蔵根の消費によって提供されている。
我々はキャッサバの微量元素を向上のために遺伝子工学の手法を用いた。

プエリトリコの圃場で、アラビドプシスの鉄の液胞膜トランスポータであるVIT1をキャッサバで過剰発現させたら、遺伝子導入キャッサバ根で野生型のキャッサバ根の3倍から数倍の鉄含量が蓄積した。

アラビドプシスの変異鉄輸送体遺伝子とアラビドプシスのフェリチンタンパクの遺伝子を共発現すると、フィールド試験で野生型のものよい鉄含量が7−18倍、亜鉛が3−10倍となった。
我々のフィールド試験データでは遺伝子導入による強化によって成長のパラメーターや貯蔵根の収量は影響がなかった。
西アフリカの1−6歳の児童や、泌乳しない、妊娠していない女性について、(IRT1 + FER1)の加工キャッサバの生体内保持時間(retention)や吸収率（bioaccessibility）を測定すると、鉄で平均必要量（EAR）の４０−５０％を、亜鉛で６０−７０％を達成できることが分かった。