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-植物鉄栄養研究会-


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19生都営法特第463号
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Feruloyl-CoA 69-Hydroxylase1(F69H1)依存性クマリン類がアラビドプシスのアルカリ条件下での鉄獲得に関わっている

Date: 2018-11-29 (Thu)

Feruloyl-CoA 69-Hydroxylase1(F69H1)依存性クマリン類がアラビドプシスのアルカリ条件下での鉄獲得に関わっている

Feruloyl-CoA 69-Hydroxylase1-Dependent Coumarins
Mediate Iron Acquisition from Alkaline Substrates in Arabidopsis
   
Nicole B. Schmid, Ricardo F.H. Giehl, Stefanie Döll, Hans-Peter Mock, Nadine Strehmel, Dierk Scheel, Xiaole Kong, Robert C. Hider, and Nicolaus von Wirén
   
Plant Physiology, January 2014, Vol. 164, pp. 160–172
    
地球の地殻では鉄は最も豊富な元素のひとつだが、土壌中での低い可溶性のために鉄は植物に吸収されにくい。多くの植物は根圏を酸化して三価の鉄を二価に還元してから鉄を膜吸収する。しかし、どのようにしてこれらの植物が根圏の鉄にアクセスして土壌の高pHに対処しているのかは不明である。
   
アラビドプシスの変異株をスクリーニングする方法で、我々は2-oxoglutarate-dependent dioxygenase Feruloyl-CoA 69-Hydroxylase1 (F69H1)を同定し、これがアラビドプシスの高pH誘導性鉄欠乏耐性に必須であることを見出した。
   
鉄欠乏下ではF69H1酵素は蛍光性クマリン類の生合成に必要であることを示し、クマリン類が根圏に分泌されて、そのうちのどれかが不溶性Fe(III)を可溶化してf69h1遺伝子変異株の鉄欠乏誘導性クロロシスを阻止した。
 
Scopoletinはもっとも有名な鉄欠乏根分泌物であったが鉄の可溶化能はなかった。esculetin, (i.e. 6,7-dihydroxycoumarin)は分泌量が少量であったがFe(III)の可溶化能があった。
  
われわれの結果は、鉄獲得機構Strategy-Iの一部として
鉄欠乏アラビドプシスがFe(III)キレート能をもつクマリン類を分泌するということを暗示している。

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