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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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MD16はアラビドプシスの鉄吸収遺伝子発現の制御に関わる

Date: 2018-10-05 (Fri)

MD16はアラビドプシスの鉄吸収遺伝子発現の制御に関わる

Mediator subunit 16 functions in the regulation of iron uptake gene expression in Arabidopsis
Yue Zhang, Huilan Wu, Ning Wang, Huajie Fan, Chunlin Chen, Yan Cui, Hongfei Liu and Hong-Qing Ling
New Phytologist (2014) 203: 770–783
doi: 10.1111/nph.12860
 
鉄は植物の成長にとって必須の元素でありその吸収は厳密に制御されている。鉄制限条件下ではFITは4個のIb bHLHタンパクとダイマーを形成し鉄吸収遺伝子群を活性化する。しかし、これらの2量体化した複合体がどのようにして下流の遺伝子群を活性化するのかはまだ不明である。
   
Forward geneticsの手法を用いて低鉄栄養に感受性の変異株を選抜した。その結果、MED16という遺伝子が選抜され、それのホメオスタシスにおける生物的作用が、遺伝子発現、たんぱく質の細胞内局在、タンパク―タンパクの相互作用、染色体への免疫沈降アッセイ法などを用いて特徴づけられた。
   
MED16に障害を与えるとアラビドプシスの根においてFRO2と IRT1の遺伝子発現を有意に減少させた。MED16変異株は地上部での鉄含量を低下させ葉の激甚なクロロシスを起こしたが、一方鉄十分条件下では野生型と同じ正常な成育を示した。
  
さらに我々は、鉄欠乏条件下で、MED16がFITと相互作用をして、FIT/Ib bHLH結合体がFRO2やIRT1のプロモーターと結合することを促進することを明らかにした。
また、多くFITによって制御されている多くの鉄欠乏応答性遺伝子がMED16に支配されていることを見出した。
 
結論としてMED16は鉄欠乏応答に関係しており、鉄制限条件下での鉄獲得関連遺伝子の発現を調整している。
   
 我々の実験結果は植物における鉄獲得と鉄ホメオスタシスの機構の深層の分子メカニズムの理解を深めるものである。
   
(下図の説明)
アラビドプシスの鉄欠乏下でMED16がFRO2とIRT1の遺伝子発現を制御している模式図
    
鉄欠乏シグナルは転写活性化因子FITとIb サブグループbHLH (Ib bHLH)、なかでもbHLH38, bHLH39, bHLH100, bHLH101遺伝子、を根の細胞内で活性化するかアップレギュレートする。これらの遺伝子産物は FIT/IbbHLHヘテロダイマーを形成し、これらがFRO2やIRT1遺伝子のプロモーターに結合する。
MED16のサブユニットはRNA polymerase II (Pol II) complexの転写活性化因子とリンクしており、FIT/Ib bHLH 複合体と相互作用して, FIT/Ib bHLH複合体がFRO2やIRT1のプロモーターとの結合を安定化し、シグナルをPol II complexに伝達しFRO2や IRT1の遺伝子発現を活性化させる。


 


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