鉄ホメオスタシスの転写制御:bHLH転写因子の話
植物における鉄ホメオスタシスの転写制御:bHLH転写因子の話
The Transcriptional Control of Iron Homeostasis in Plants: A Tale of bHLH Transcription Factors?
Fei Gao, Kevin Robe, Frederic Gaymard, Esther Izquierdo and Christian Dubos
BPMP, CNRS, INRA, Montpellier SupAgro, University of Montpellier, Montpellier, France
Frontiers in Plant Science | www.frontiersin.org 1 January 2019 | Volume 10 | Article 6
(要旨)
鉄は多くの細胞機能(光合成や呼吸など)に関わる最重要の微量元素のひとつである。
鉄の利用性が一つでも欠けると植物の成長や発達ばかりでなく作物収量や生産物の品質に影響を与える。
したがって鉄ホメオスタシスは、適切な鉄吸収を保証するために、厳密にコントロールされていなければならない。
植物の鉄ホメオスタシス統御のメカニズムはこの10年間の間にいくつかの研究が集中して研究されて理解が深まってきた。
そしてこれらの研究により、巧妙な鉄依存性転写制御ネットワーク機構が明らかになった。
驚くべきことは、これらの研究が、この制御網が同じ転写因子グループ(TF)つまり、bHLH (basic helix-loop-helix)ファミリーという非常に多くの転写因子活性に依存していることを解明したことである。
この事は最もアラビドプシスで典型的で、これまでに16 個のbHLH-TFがこの過程に関与し、複雑な制御カスケードで作用していると特長ずけられている。
興味深いことに、これらのbHLH TFの中のある種のものは特異な生物進化群(クレード)に属し、鉄ホメオスタシスの維持に充当する奇妙な働きを意味するものとして緑色植物の進化の過程で登場していることである。
このミニレビューでは鉄ホメオスタシスの制御とこの代謝プロセスにおける bHLH TF の関与について新しい考察を行う
(以下図の説明)
図1.アラビドプシスの鉄欠乏応答をコントロールするbHLH依存性転写制御ネットワーク
図2.アラビドプシスの根の成熟域における鉄欠乏応答に関わる転写因子の発現(プロモーター活性)、と局在(GFP 融合タンパクによる)パターン
図1
図2