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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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「機能性野菜の教科書」 中野明正(編著)

Date: 2020-04-22 (Wed)

「機能性野菜の教科書」 中野明正(編著)誠文堂新光社 が出版された。

本書は野菜の機能を「栄養素」「おいしい」「生体調節機能」の3つの機能に分類して、とりわけ「生体調節機能」について、詳しく簡潔に紹介している。
  
編著者である中野明正氏は 「はじめに」 のところで
  
 現代の食の航海は困難を極める。様々な情報が氾濫する荒波の中、羅針盤となる適切な情報により、目標である「健康寿命の延伸」という宝島に向かって進もう。本書が、野菜について正しく考え、おいしく食べるきっかけとなり、読者のみなさんの豊かな人生に貢献できることを切に希望している。 
  
と述べている。
  
項目ごとのタイトルと著者(所属略)は

野菜の機能性のとらえ方 中野明正
野菜の機能評価に基づいたデリカフーズグループの取り組み 有井雅幸
品目別野菜の栄養と機能性 武井安由知
ミネラルの健康影響の最前線 渡辺和彦
機能性を高めるための品種・栽培技術 タキイ種苗株式会社
環境制御による高機能性・高付加価値野菜の栽培 小川敦史
宮城県産「ちぢみほうれん草」 機能性販売に向けた取り組み 尾形和磨
機能性食材を取り入れた「機能性弁当」のアプローチ 中野明正
機能性野菜を生かした簡単レシピ 岸村康代
  
なかなかの名文なので、以下本書の「おわりに」の全文を転載する。
   
本書では先端的な事例を取り上げつつも、弁当や具体的なダイエットなど、より実用的な知見、身近な事例を盛り込んだ。特に野菜の品目毎のエビデンスは、より踏み込んだ情報が一覧できる事典としても使え、まさに食材としての教科書になったと思う。ここまで読まれた皆さんは「農」は「脳」で食べる時代になったと感じられたのではないだろうか。また、手前味噌ではあるが、使えるレシピも満載し、無理なく健康的に生きるポイントをコンパクトにまとめることができたと思っている。
最近のノーベル賞の成果を見るにつけ、がんも認知症も克服できる可能性が出てきたように感じる。さらなる医学、医療の発展にも期待したいが、個人としての、日々の地道な取り組みの重要性も論をまたない。多くの識者の健康寿命に関する話をお聞きするにつけ、共通して言われることがある。「禁煙、節酒、野菜果物の適量摂取、そして適度な運動」である。かって、「野菜を食べない理由」のひとつとして、「危険な硝酸イオンが多いから」ということもあったように思うが、今は昔。本書でも解説したように、野菜の硝酸も血圧の適正な維持に貢献しているようだ。もう野菜を食べない理由は見当たらなくなった。野菜は、今まで以上に揺ぎなく、人の健康維持の一角を占めるだろう。
読者の皆さんは、ぜひとも野菜を中心とした「健康的な食生活」の知恵を、日々の生活で実践していただきたい。食事の中でトマトを一切れ多く、おいしく食べる。実行あるのみ。人生100年時代、皆さん、健康長寿を楽しみましょう。
令和2年3月 中野明正