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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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MYB30は活性酸素種(ROS)シグナル、根の細胞の伸長、植物の免疫応答を連結している

Date: 2019-05-15 (Wed)

MYB30はROSシグナル、根の細胞の伸長、植物の免疫応答を連結している

MYB30 links ROS signaling, root cell elongation, and plant immune responses
Kaho Mabuchi, Hiromasa Maki, Tomotaka Itay, Takamasa Suzuki, Mika Nomoto, Satomi Sakaoka, Atsushi Morikami, Tetsuya Higashiyama, Yasuomi Tada, Wolfgang Busch, and Hironaka Tsukagoshi

E4710–E4719 | PNAS | vol. 115 | no. 20 www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1804233115
(要旨)
活性酸素種(ROS)は生物的や非生物的応答ばかりにではなく生長制御にも関係している。
しかしながら、ROSが生長制御因子として作用するメカニズムばかりでなく、どのようにしてROS依存性生長制御が
ストレス応答での役割に関与しているかなどはまだよくわかっていない。
我々は過酸化水素処理によってアラビドプシスの根端で時系列的なマイクロアレイ分析をおこない、それを“ROS-map.”(活性酸素種地図)と名付けた。
このROS mapを用いてMYB転写因子であるMYB30を同定し、これがROSに強力に応答し、これが過酸化水素依存性根根の細胞伸長阻害に至る一連の遺伝子ネットワークを制御するキーとなる制御因子であることを見出した。
面白いことに、このネットワークはvery-long-chain fatty acid (VLCFA:超長鎖脂肪酸)の輸送に関係する多様な遺伝子を含んでいた。
最終的に我々はMYB30が防御免(免疫)応答時の根の生長制御に必要であり、これまで独立事象と考えられていたこれら2つのROSが関連する生体プロセスで、MYB30が分子連接環を提供していることを明らかにした。

以下サブタイトルのみ訳しました。

(結果)
ROSに対する転写応答はダイナミックな発達領域に特異的である。
 
ROSに応答して根の細胞伸長をMYB30は制御する。
 
MYB30はROS依存的に根の先端で発現される。
 
MYB30は遺伝子群の特異的セットを制御する。
 
MYB30はLTP5, LTPG1, and LTPG2のプロモーター領域に直接結合する。
 
MYB30遺伝子制御ネットワークは根の伸長を制御し植物の免疫力に強い影響を与える。
 
 
(論議)
 
ROS-MAPは過酸化水素に対して発達領域に特異的な応答を明らかにする。
 
脂質の移行と細胞の伸長。
 
MYB30ネットワークは根の成長と防御のバランスを司ることに関わっている。