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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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Dihydroflavonol 4-還元酵素活性は、デリフィニウム属の花の色の濃さに関係している

Date: 2019-04-30 (Tue)

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この論文では花の色の量的な強弱がDihydroflavonol 4-還元酵素活性に依存していることを示しているが、花の色の質的側面に関しては論じていない。花色そのものを支配している化合物や遺伝子の研究は名古屋大学の吉田久美教授グループが先陣を走っている。




Dihydroflavonol 4-還元酵素活性は、デリフィニウム属の花の色の濃さに関係している

Dihydroflavonol 4-reductase activity is associated with the
intensity of flower colors in delphinium
Natsuki Miyagawa, Taira Miyahara1, Mitsutoshi Okamoto, Yukio Hirose, Kimitoshi Sakaguchi, Shoji Hatano, Yoshihiro Ozeki,

Plant Biotechnology 32, 249–255 (2015)
DOI: 10.5511/plantbiotechnology.15.0702b

要旨
花の色の濃さはアントシアニンの集積量によっておよそ決定されている。
デルフィニウム属の花は薄いピンクから濃いオレンジ、レッド、濃いブルーと広い範囲にわたっている。
本論文で我々はアントシアニンの集積レベルが濃いブルー、オレンジ、レッドのものは薄いブルーや薄いピンクの色よりもより高いことをしめした。
dihydroflavonol 4-reductase(DER)は植物のアントシアニン生合成酵素のキー酵素であるので、我々は花の色のと濃さDER遺伝子発現のレベルの関係についてを調べた。
異なる花の色の6種類のデルフィニウム品種を分析した。相対的に高いアントシアニンレベルを示した品種は疎タンパク抽出物のDEF遺伝子発現と酵素活性
レベルが高かった。
これに対して、アントシアニン集積が低い品種のDEFの遺伝子発現と酵素活性は低かった。6種類の品種のアミノDFRアミノ酸配列を比較したところDgDFRとDnDFRという二つのタイプに分けられた。
DgDFR やDnDFRなど大腸菌への遺伝子組み替え体のタンパクは同等の基質特異性を示したが、DnDFR酵素のターンオーバーはDgDFRよりも高かった。
DFR遺伝子発現レベルは花の色の強度と密接に関係しており、DEF酵素はアントシアン集積とデリフィニウムの花の色の濃さを決定する重要な因子であると結論される。