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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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アラビドプシスの鉄欠乏誘導性エチレン生産にMPK3/MPK6が関与している

Date: 2018-11-07 (Wed)

アラビドプシスの鉄欠乏誘導性エチレン生産にMPK3/MPK6が関与している

MPK3/MPK6 are involved in iron deficiency-induced ethylene production in Arabidopsis

Lingxiao Ye, Lin Li, Lu Wang, Shoudong Wang, Sen Li , Juan Du, Shuqun Zhang and Huixia Shou

Frontiers in Plant Science | www.frontiersin.org 1 November 2015 | Volume 6 | Article 953

(要旨)

鉄(Fe)は植物の生育にとって重要な様々な生命現象にとって必須の微量元素である。鉄欠乏によって誘導されるエチレン生産は鉄欠乏によるストレスに対して植物を耐性にする重要な役割を演じている。しかし、この鉄欠乏応答に対する1-Aminocyclopropane-1-carboxylic acid synthase (ACS)遺伝子群の活性化や制御のメカニズムは定かではない。

本研究では以下のことを明らかにした。鉄欠乏で葉と根の
ACS2, ACS6, ACS7, ACS11 の転写量が増大した。また葉でのACS8と根でのACS9の転写量も増加した。
さらに鉄欠乏誘導性エチレン生産においては、mitogen-activated protein kinase 3 and 6 (MPK3/MPK6)がACS2/6の活性化を制御している役割についても調べた。
我々の結果ではMPK3/MPK6転写産物の量とMPK3/MPK6のリン酸化が鉄欠乏条件下で増加していた。
さらに、鉄欠乏条件下では変異株であるmpk3 やmpk6による エチレン生産誘導がより低下しており、鉄欠乏感受性がより高まっていた。最後に、mpk3, mpk6, acs2などの 変異株では鉄欠乏応答性遺伝子であるFRO2, IRT1, FITなどの転写産物の発現が部分的に弱まっていた。

以上の結果からMPK3/MPK6 や ACS2は鉄飢餓誘導性エチレン生産シグナル経路の一部であることが示唆された。

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鉄欠乏処理と植物のエチレン生産