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-植物鉄栄養研究会-


NPO法人
19生都営法特第463号
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歯周病菌を助けるヘミン鉄

Date: 2017-09-10 (Sun)

歯周病菌を助けるヘミン鉄

  歯肉や口腔粘膜を覆う上皮細胞は、歯周組織を感染から守る最前線の障害(上皮バリア)です。上皮バリアはプラーク中の細菌から歯周組織を守る物理的障害であるとともに、細菌の栄養となる成分が、歯周組織から歯周ポケット内に滲出するのを防いでいます。また、上皮バリアは免疫物質や抗菌物質を分泌しています。
 
  上皮バリアが破壊され潰瘍が形成されたとき、流れ出た血液を栄養としてPorphyromonas gingivalisなどの歯周病菌は大いに増殖し、プラークの病原性は一気に高まります。その結果歯周炎は進行します。歯周病菌には鉄が必須栄養素です。歯周病菌は、人血液中のヘモグロビンからヘミン鉄を手に入れ、増殖と病原性発揮を可能とします。
 
  健康な歯肉溝や出血を伴わない歯周ポケットには出血がないため、歯周病菌はヘミン鉄を摂取できません。この栄養不足の状況下では、歯周病菌の増殖が容易でないため歯周炎は発症しません。
     
(「国民医療費削減の切り札は健口」 天野敦雄 学士会会報 No.926 2017-V p98-102 より引用)